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4.第3回面接「A君のかかえる問題」  
  
ブリーフセラピーを生かした不登校生徒への対応〜
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 今回の面接から,A君とのカウンセリングを本格的に始めようと考えていました。しかし,A君は突然,お母さんと一緒に登校してきました。

 A君のお母さんは,面接指導と進学決定のお礼に学校へ訪れたということでした。(このときも,A君はお母さんと一緒に,校庭を通って登校してきたことをあとで確認しました)。


***************


「本当に,このたびはありがとうございました」

「いいえ,とんでもない。A君の実力ですよ。よかったですね」

「はい,おかげさまで学校も決まって……」
「この子も適応指導教室には行くんですけど,お友達といろいろうまくいかなくて,学校に来られないので……」
「そういうわけで,卒業式はちょっと遠慮させていただこうかと……」

 お母さんは,私があまり話をしないうちに,卒業式のことまで話されました。そのとき,A君はお母さんから顔を背けて,小さい声でつぶやきました。

 「まだ決めたわけじゃない……」

 これを私は聞き逃しませんでした。
 そして,内心では「やった!」と思いました。

 A君は学校には来られませんでしたが,適応指導教室には行っていました。「これはもしかすると,家にはあんまり居たくないのかもしれない」と,薄々考えていたのです。
 A君が母親からの自立を望んでいることを感じました。


***************


 その後,お母さんには先にかえってもらい,A君と雑談しました。

「A君は,これから自分がどうなればいいなぁって思ってる?」
「君の問題がぜーんぶ解決したときって,どんなふうになってるのかな」

 私はあえて「問題」とだけ言い,その内容は曖昧にして触れませんでした。A君が何を問題と考えているのか,知るためです。

「楽しく学校に行っていると思います」

 A君の答えからは,「楽しく学校に行かれないこと」を問題ととらえていることがわかりました。

「楽しくって,どんな感じ? 登校しているときはどういう感じかな?」

「友達と,何か話しながら登校しています」

「表情は?」

「ニコニコ笑っています」

「ふーん。教室ではどうなの?」

「教室でも,笑いながら友達と仲よく話してます」

 このように質問を続けて,A君の問題が解決されたときのイメージを具体的にしていきました。詳しくは割愛しますが,このやりとりにはけっこう時間をかけました。

 最後に,A君の今の様子を点数で表してもらいました。

「そうなった時(A君の問題が解決された時)を10点満点で10だとすると,今はいくつくらいなの?」

「4くらいです」

「ふーん,そうなんだ」

 この数値は,意外と高いので驚きました。


***************


「ねぇ,ペンギンって好き?」

「…………」

 私は話題を変えました。次回への布石です。無理矢理ペンギンを出したのは,氷の話をしたかったからです。

「あっ,先生の話ってとびやすいんだ。ごめん。大丈夫?」

「大丈夫です」

「先生ね,ペンギン好きなんだ。かわいいよね。動物って何でも好きなんだ」
「ペンギンは,足に卵をはさんで暖めるんだよね」

「…………」

「それでさぁ,氷って不思議だと思わない?」
「南極みたいな寒いところだと,カチカチですごく堅いじゃない」
「でも,暖かい南の島にもってくると,水になって,クニャクニャに柔らかくなるんだよね。不思議だよね……」

 これは,同じもの(人)でも,状況によって変われるというメッセージです。しかし,A君が意識でとらえないうちに,さらに話題を変えました。

「A君は,いつもお昼どうしてるの?」

「お弁当を買います」

「へぇー,どんなの買うの?」

 しばらくはA君のお弁当についての話を続けました。

「そうだ。来週来るときはさ,校長室で一緒に給食を食べるっていうのはどうかな?」
「先生と一緒に給食を食べること,できる?」

「できます」

「本当! じゃあ,今度から一緒に食べようね」

「今はさ,校長室に来てくれているけど,今度,教室をのぞいてみるというのはどう?」
「さっき,10点満点の4くらいと言ってたけど,教室をのぞきに行かれたら,いくつになるの?」

 A君はちょっと考えて言いました。

「7になります」

「そうか,7か,すごいなぁ」


***************


 その後,字の得意なA君に,ほかの生徒にも出している国語の課題をできるかどうか尋ねました。A君ができると言ったので,その用紙を渡しました。

 このとき,国語の先生にも来てもらい,課題の説明をしてもらいました。私以外の人に徐々に慣れてもらおうという意図です。

 最後に次回の約束をして面接を終えました。

 面接終了後,一緒に校長室を出ると,たまたまA君と同じクラスの女の子2名が通りかかり,「あー,A君。久し振り!元気?!」と声をかけました。まあ,絶妙のタイミングで来てくれたものです。

 A君は,顔を背けて,避けるようなそぶりを見せました。
 しかし,私は「これはチャンス!」とばかり,すかさず言いました。
 
「A君,あたたかいね。いいクラスだね。気持ちがとってもあたたかいじゃない」

 そして,私とA君は玄関に向かいました。途中,ほかの生徒が書いた国語の課題が掲示してあったので,解説しながらしばらく一緒に眺めました。

「こんな感じで書けばいいんだよ。どう?」

「なんとかできそうです。」

 こうして,3回目の面接が終わりました。

 
   
   
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