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2.第1回面接「入試面接の練習」  
  
ブリーフセラピーを生かした不登校生徒への対応〜
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 1回目のカウンセリングの面接で,約束どおり,私とA君は入試面接の練習をしました。面接での振る舞い方,答え方を教えたあと,実際に面接の練習をやってみました。

 練習がおわったあと,少しだけA君と雑談しました。
 人の視線が気になるようだったので,さりげなく次のような話をしました。

「A君は,なにが趣味なの?」
「字を書くことです」
「へぇー,字を書くのが好きなんだ」
「うらやましいなぁ。先生は字が下手なんだ」
「…………」
「筆で書くの? それともペンで書くの?」
「ペンで書きます」
「そうなんだ。先生はね,中学生のころ字が下手でね。ノートなんか書くのが嫌だったんだ」
「自分の書いた字を人に見られるのが恥ずかしくてね。ノートなんか,手で隠して書いてたよ」

「恥ずかしいって言えばね。中学生のころって,自分の髪型とか,洋服とか気になるじゃない?」
「ぼくはね,今は違うけど,中学生の時は髪の毛がさらさらで,寝癖がつきやすかったんだ。朝起きると,頭がバクハツしてることがよくあったなぁ」
「A君はそういうことない?」
「たまにありました」

「あるときね,寝癖がひどかったことがあって,ぬらして直そうと思ったんだけど,とれなくてね。でも学校に行く時間だし,間に合わないから,あせって,頭を手で押さえて,必死に隠して学校行ったんだ」
「学校に行ってからもね,すぐに寝癖がとれないから,ずっと手で隠してたんだ」
「友達と話しているあいだも押さえていて……。いいかげんいやになったから,友達に『いや,寝癖がついちゃって……』と言ったんだ」
「そうしたら,友達が『エッ?』て……」

「気にしてるのは,自分だけだったんだよね」
「あっ,そうだ。もし面接が不安だったら,また練習してあげるからね。いつでも言ってください」

 私は,寝癖の話から「人は,自分が思っているほど,自分のことを見ていない」ということを伝えたいと思いました。
 でも,こうしたメッセージは,なにげない会話の中に紛れ込ませて,A君の意識に残らないように,すぐ別の話題に切り替えるようにしました。

 このようなメッセージを送ったからといって,A君の行動が,必ずしもこちらの期待どおりに変わるとはかぎりません。もし変われば儲けもののつもりでした。

 しかし,A君の行動は,次の面接の時から変わり始めたのでした。

 
   
   
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