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<2つの標準学力検査:NRT&CRT>

標準学力検査は、評価法の相違に応じて2種類あります。
学力の評価法としては、

「絶対評価法」



「相対評価法」


があり、各々、学力評価の基準が異なります。

したがって、各々に対応した標準学力検査の作成にあたっては、学力評価の基準や尺度・作問・実施法・採点法等、各々の評価法の手続きに則る必要があります。

このことから絶対評価法に基づく標準学力検査としてのCRTと相対評価法に基づく標準学力検査としてのNRTの2種類があるわけです。

どちらも各々の評価法のねらいに応じて、学力の実態を客観的に把握し、児童・生徒の学習指導への活用はもとより、教育課程の編成や指導計画の作成、指導方法の改善に役立てることを目的としますが、その相違点については、次表をご参照下さい。

 
NRT
Norm Referenced Test
集団基準に準拠したテスト
検査の種類
CRT
Criterion Referenced Test
目標基準に準拠したテスト
集団(全国)標準 に準拠した評価
相対評価 (全国的学力水準と比較して相対的に学力を把握する)
評価法
目標(教える目標・内容)基準に準拠
絶対評価 (客観的な目標到達基準で到達度を診断する)
相対評価による評定
尺度=学力標準得点(偏差値) 
結果の表示
絶対評価による評定
尺度=得点率 
確かな学力=基礎的・基本的な学力・自ら考える力(応用的学力
測定の対象
基礎的・基本的な学力 
主に1学期 
前学年の学力の実態を把握し,向こう1年間の指導(計画)資料とする。知能との相関利用で個人内評価の指導資料とする。
最適実施時期
・3学期実施(3学期実施版) 
3学期途中までの指導成果を絶対評価で確認。
・新学期実施(新学期実施版) 
新学期に前学年の指導成果を絶対評価で確認。
1年間の全指導内容を出題している。
自ら考える力の伸び具合をみるため,未習の問題にも取り組ませる。
未習問題は削除できない。  (年度途中の実施でも,実施月別尺度が用意されているので,その時点での全国平均と比較できる)
検査内容と未習問題の扱い
3学期実施版(3学期途中までの指導内容)と,新学期実施版(前学年の1年間の全指導内容)の2種類がある。未習問題は削除して実施できる。 
指定された実施時間を厳守 
各学校が同一時間で実施しなければ相対評価ができない。
検査時間
標準時間 (実施時間を延長できる) 
学習した内容のすべてについて身についているかどうかの確認をするため,未着手の問題が残らないよう延長してもよい。
内容領域別(単元中心) 
分析的診断
観点別(指導要録の観点準拠) 
新成就値によりアンダーアチーバー・オーバーアチーバーの判定ができる。
知能検査との相関利用
学力偏差値が出ないので新成就値は算出できないが相関表により知能との関係を概観できる。
また、学力の評価にあたっては、絶対評価、相対評価の両方が必要であることが、教育課程審議会答申(平成12年12月)や指導要録の通知文(平成13年4月)に下記のように示されています。


○集団に準拠した評価(いわゆる相対評価)
『〜これからは、目標に準拠した評価及び個人内評価が柱となる中で、集団に準拠した評価については、児童生徒の発達段階などに配慮した上で、目的に応じて指導に生かすことが必要である』(答申)
『総合所見及び指導上参考となる諸事』
児童(生徒)の成長の状況を総合的にとらえるため、以下のような事項などを記入する。〜C〜知能、学力等について標準化された検査の結果など指導上参考となる諸事項。〜また、学級・学年など集団の中での相対的な位置付けに関する情報も、必要に応じ、記入する』(通知文



○目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)
『観点別学習状況の評価を基本とした現行の評価方法を発展させ、目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)を一層重視するとともに〜』(答申)『T観点別学習状況 〜各教科の目標に照らして、その実現状況を観点ごとに評価し、A、B、Cの記号により記入する〜』『U評定 〜各教科の目標に照らして、その実現状況を総括的に評価し、記入する。』(通知文)


<絶対評価(CRT)と相対評価(NRT)を1つのテストで行えない理由>

@測定対象の学年と学力を測る基準が異なる。
CRT・・・評価規準を到達すべき目標(教えた内容)におく。基礎的・基本的内容を中心に作問。
NRT・・・評価基準を全国の同学年の成績の中におく(平均点)。基礎的・基本的内容と自ら考える力の問題を合わせた出題となる。

⇒作問から標準化の仕方まで異なる両者を1つにできない。
A実施の仕方が異なる。
CRT・・・時間永長ができる。目標の定着殿確認には出題問題すべてに着手するように実施する。
NRT・・・実施時間厳守。各学校が同一時間で実施しなければならない。


⇒実施法が異なる両者を1つにできない。
B得点分布が異なるため結果を示す尺度が異なる。
CRT・・・結果は「得点率」に基づき、A・B・Cの3段階で到達度を表す。検査結果の得点分布は正規分布するとは限らない。基礎的・基本的な内容が出題の中心であるため段階Aが多数出現する可能性がある。
NRT・・・結果は全国基準による学力標準得点(偏差値)で相対的位置を表す。偏差値尺度を用いるので検査結果の得点分布は正規分布が前提となる。(得点分布が正規分布を描くように難易度を事前に調整し検査を作成する)
C未習問題の扱いが異なる。
CRT・・・未習の問題は採点の際に削除しても正しい評価ができるように配慮している。
NRT・・・実施月別尺度が用意されているので、未習問題も削除せずにそのまま実施させる。

⇒採点の際の未習問題の扱いが異なる両者を1つにできない。

上記の理由により、1つのテストで両方の評価を行うには、どちらかに偏することになり、評価法として矛盾が生じることになります。

従って、1つのテストで両方の評価を行おうとすると、当然その矛盾から信頼性・妥当性の保証ができなくなります。

この2つの標準学力検査は、各々の評価法に基づく理論的根拠をもとに、各々正しい手続きで作成されないと、正確に各々の評価法で学力を測れる客観的評価用具としての資格を有しません。

従って、1つのテストで両方の評価は無理であり、学力の評価にはCRTとNRTの2つの学力テストが必要です。

 
 
(c) Toshobunka, 1998-2004